アールグレイティの入れ方と、アレンジティーの飲み方

はじめに

 一年中、大活躍のアールグレイティ。

夏のアイスも、寒い時期のホットティも、柑橘類の爽やかな香りで美味しいですね。そんなアールグレイティですが、実はとても謎めいた不思議な紅茶であるということ、ご存知でしょうか?  

アールグレイティとは?

 アールグレイティは、いわゆるフレーバードティ(着香茶)です。

紅茶は香りを吸いやすいという特性が有りますので、フルーツやスパイス、花の香りなど、色々と着香することが出来ます。

柑橘類ベルガモットの香りを着けた紅茶のことをアールグレイと呼びます。イタリア・シシリー島原産の柑橘類ベルガモットは、苦く酸っぱ過ぎて生食には出来ません。そこで精油にして、香り付けに使用します。アロマテラピーでもお馴染みの香りです。

ベルガモットは、5つの系統(カタグロナ、フェミネロ、メラローサ、ピコラ、トルローサ)があり、香り付けされる元の紅茶も、中国・キーマン紅茶、キーマンと雲南の紅茶ブレンド、インド・ダージリン紅茶中国紅茶とダージリン紅茶のブレンド、セイロン紅茶など色々有りますので、紅茶メーカーごと違いが有ります。  

 

アールグレイの意味

 アールグレイの“アール”は英語でEARLと綴り、「伯爵」の意味、そして“グレイ”は英語でGREYと綴り、これは人の名前で「グレイ」氏の意味。よってアールグレイは「グレイ伯爵」のこと。

正式には、二代目グレイ伯爵で、名前はチャールズ・グレイ(1764年生まれ1845年没)。どうして人物の名前が紅茶についたのかは、下記にて順番に説明します。  

 

アールグレイ人物像

 二代目グレイ伯爵は、英国の政治家で、1830年から4年間、首相を務め、政治改革を行いました。この短い期間に沢山の改革をいたします。

 

救貧法の継続・発展、地方政府の民主化、児童労働の制限、奴隷労働の廃止、腐敗選挙区の廃止、議席の再配分などの改革など。

 

これらは、新時代を見据えた改革で、その後のヴィクトリア朝英国の発展の礎を築きました。本来なら立派な政治家として名前が残るべきですが、紅茶の名前の方が有名になりました。 

 

アールグレイティ名前の由来

 なぜグレイ伯爵の名前が着香紅茶の名前になったかについて、エピソードが色々有ります。その中で例えば、以下のようなものがあります。

  

グレイ伯爵のエピソード

 中国・北京に派遣された英国外交使節団のひとりが、中国人外交官の危機を救ったことから、お礼に“中国産の着香茶”をひと壺、贈られました。

そのお茶がグレイ伯爵に献上され、首相がいたく気に入り、そのレシピ(着香茶の作り方)を調べさせ、英国でそのブレンドを開発しました。

 

こうして出来上がった製品に、自分の名前(EARL GREY) をつけて良いと許可したのが由来だと言われています。 

 

中国人外交官の危機エピソードでは、海で溺れそうになったとか、猛獣に襲われたとか様々な説が有りますが、おおむねこういった内容が名前の由来と言われています。

謎の紅茶アールグレイティ

 献上された“中国産の着香茶”ですが、その当時1830年代には、中国キーモン紅茶もインド・ダージリン紅茶もセイロン紅茶も存在しません。

ベルガモットの樹も中国には有りませんでした。

 

ですから、発酵が進んだ烏龍茶(工夫紅茶)に乾燥させたミカン、もしくはダイダイの皮を利用して着香されたものではないかと想像されます。

 

文献的な謎

 グレイ首相に関連した外交記録で、中国からの特別の贈答品の記載説明が全くないこと。さらに紅茶に関するあらゆることが記載されているはずの、W.H.ユーカーズ著『オール・アバウト・ティ ALL ABOUT TEA (初版1935年) 』に、アールグレイティに関する記述が一文字もないのです。

現在販売されていますアールグレイティの存在は、それほど古くありません。欧米の香料専門会社が合成香料・香油を研究開発して、その安全性が認定されるようになった1965年頃から、紅茶に精油を着香させたものが出回って広がっていきました。
 

アールグレイティ メニュー

 そんな不思議な紅茶ですが、柑橘類の香りがしっかり着いていますので、色々と楽しめます。熱い時期には、アイスティとして一番人気です。

 

香りは、揮発性のためホットだと引き立ちますが、アイスだと弱くなります。その点、アールグレイは香りがしっかりついていますから大丈夫。

 

そのままストレートのアイスティも美味しいですが、以下のレシピもお勧めです。

 

柑橘類ジュースと割る

同じ柑橘類のグレープフルーツジュースやオレンジジュースを入れるのも相性が良いです。オレンジスライスやレモンスライスを浮かべても良いですし、グレープフルーツは、三日月型に切って、皮と実の間に包丁で半分~3分の2程度切れ目を入れ、グラスの縁に刺して立てかせるのもお洒落です。

 

またアイスアールグレイティのセパレートティも良いですね。
セパレートにして目で楽しむのも良いです。

  

アールグレイティかき氷

 アールグレイティを凍らせ、氷にします。それをかき氷にします。

市販のかき氷セットには、専用の製氷器が有りますのでそれを利用します。かき氷器でかき氷を作り、黒蜜をかけて香りを楽しみながら食べる。

  

和風ソイミルクティ

 倍の濃さにしたホットティに黒蜜を溶かしておきます。

『オン・ザ・ロックス方式』で上記のティをアイスティにします。

 

有機豆乳を入れてソイミルクティ。

 アイスティは濁っても良いので、濃く出せばさらにコクが出ます。

 豆乳の微妙な臭みも、ベルガモットの香りで消されます。

 ソイミルクティですから、和の茶器で飲むのも良いですね。

朱泥の常滑焼コップに入れて手で冷たさを味わいながら頂くのもおつなもの。

 

ワイングラスで優雅に

 アイスアールグレイティをワイングラスで飲む。

食べ物、飲み物は器でも味わいますね。
アイスアールグレイティをワイングラスで飲むとまるでロゼワインの気分。
ワインがわりに楽しむのも良いですし、ワインを飲んだ後、そのグラスに注いでも良いですね。酔い冷ましにもなります。 

 

ホットティも柑橘類の香りが有り、すっきりとした味わい。
そのままのストレートティも美味しいですが、濃い目に抽出したホットティにミルク(牛乳)を入れます。いわゆるミルクティ。
不思議なことに、ベルガモットの香りが、すっきりとしたミルクティにしてくれます。

 

アールグレイティに合うフーズ

 やはり不思議なことに、アールグレイティに合うフーズが色々有ります。

特に合うものを紹介しますが、皆さんも色々と試してみられたら、新たな発見があるかもしれません。 

 

チョコレート

 チョコレートは、柑橘類のオレンジやレモンなどとも相性が良いですね。

オレンジゼリーペーストがチョコレートの中に入っている製品もあります。
ベルガモットも柑橘類。やはり相性がピッタリです。

  

チーズ

 チーズのこってり感・チーズ臭に、ベルガモットの香りが効きます。

それこそワイングラスに注ぎ、チーズをつまみにして頂きましょう。

  

揚げ物、フライ物

 脂っこい物は、口の中がべとつきますが、アールグレイティを飲めばすっきり。紅茶は消化を助けますから、尚更ありがたい飲み物です。

  

クリーム

 乳脂肪タップリのクリームケーキやシュークリームも、アールグレイティならくどさが解消。アイスティでも良いのですが、ホットティにアイスクリーム「雪見だいふく」を入れて、外の求肥の皮がゆっくり溶けて、中のアイスクリームが広がる食べ方も面白いです。

  

フルーツ

 ベルガモットが柑橘類ですから、生のグレープフルーツやオレンジを食べる時のお伴に。

 

さいごに

 アールグレイティは、グレイ伯爵が大変有能であったように、紅茶としても色々な楽しみ方が出来る有能な着香茶です。

 

西洋で生まれた紅茶でありながら、東洋のオリエンタル感も持った不思議な紅茶。ストレスを何かと感じやすい現代社会ですから、アールグレイティと親しむことによって、自然とアロマテラピー効果の恩恵も受け、癒されていく自分を発見するでしょう。