アッサムティの入れ方と、アレンジティーの飲み方
紅茶らしいアッサムティ。
ミルクティにするには、ぴったりの紅茶。
英国紅茶の歴史を語る上で、主役の紅茶でもあります。
そのアッサムティについて順番にお話していきます。
アッサムは、インド北東部の州の名前です。
北のヒマラヤ山脈とミャンマー国境のナガ山脈を流れるブラマプトラ川の流域両岸の、通称アッサム渓谷が紅茶の産地となっています。
気候としては、非常に湿度が高く、雨が沢山降ります。
1823年、スコットランド人のロバート・ブルース(兄)は、アッサムの奥地シブサガールでアッサム種の存在を知りました。それは、ミャンマーの山岳民族ジュンポー族が食用としていた植物でした。葉は大きく、樹木も喬木(人の背丈以上ある高い木)が外見の特徴です。
兄ロバートが亡くなった為、弟チャールズ・アレキサンダー・ブルース(C・A・ブルース)が、もらい受けたこの植物を栽培し、茶の一種として英国本局に申請しました。
しかし、外見があまりに既存の中国種の茶樹と違うため、なかなか認めてもらえませんでした。それでもC・A・ブルースは、スコットランド人魂で、粘り強く諦めません。ようやく1835年に、英国王立学会が中国種とは違う変種・アッサム種として承認いたします。
そしてC・A・ブルースがインド紅茶生産の責任者に任命され、中国から茶師を招へいし、栽培から製造まで試行錯誤して、ようやく1838年に出来た紅茶の内、翌年1839年1月のロンドンオークションで、8箱が最高値をつけました。
但し、それからも順調にいったわけではなく、紆余曲折が有りましたが、アッサムティの特徴が、英国人の味覚に合っていましたので、もうアッサムティなくしては過ごせなくなります。
C・A・ブルースは、スコットランドに戻ることなく、永遠にアッサムの地で眠っています。
熱帯茶とも言われ、高温多湿の土地に良く育成します。
逆に寒さには弱い。
喬木タイプで人の背丈より高くなります。
大きな葉をしており、葉肉は分厚く軟らかでカテキン(タンニン)の含有量が多いです。酸化酵素の活性が強く、紅茶向きなのです。
伝統的製法での生産は10%ほどで、CTC茶と言われる、丸薬のような細かい丸い茶が残り90%を占めます。
両方とも茶葉は黒味を帯びた褐色の外見。
伝統的製法でのリーフティのセカンドフラッシュ(6月~7月)には、チップ(ゴールデンチップスと言われる)が多く含まれています。
水色(スイショク=紅茶液)は、褐色を帯びた濃いめの紅色、赤みの濃いのが特徴。芳醇で甘くコクのある強い香味。よく、モルティ(Malty:麦芽のようなやわらかでコクのある)と表現されます。
また、しっかりとコクのあることをボディ(Body)があると言います。
ワインでもこの表現を使用しますね。
ティーバッグもリーフティも、『ゴールデン・ルール』に従って抽出いたします。アッサムのモルティな香味をそのまま味わうには、まずはストレートティで。
その為には、ティーバッグ(アッサムティの商品名は少数ですが)では目安1分30秒蒸らします。
大型のリーフティの場合は、目安はストレートティの場合、2分~3分。
細かくて丸いCTCティの場合は、目安は1分~2分です。
そして何といってもアッサムティは、ミルクティ。
ミルクティの場合、プラス1分~2分蒸らす時間を足します。
ですから、ティーバッグの場合は、3分目安。
大型リーフティでは3分~4分、CTCティでは2分~3分が目安となります。
ミルクティにする場合は、目安の時間を過ぎて濃くなっても構いません。
ミルク(牛乳)をたっぷり入れれば、コク味が出てとても美味になります。
ミルクとの相性が良いアッサムティのアレンジティを紹介します。
1.アッサムティのホットティを濃く抽出いたします。
2.そこに蜂蜜と牛乳を適量加え、混ぜます。
3.鉄分を含んだ蜂蜜で、水色(紅茶液)が黒ずみますが、牛乳を加えますとキャンブリック(亜麻)色に見えます。
鉄瓶で沸かした熱湯でも同じ結果となります。
英国でもポピュラーなメニューです。
1.お水と牛乳を半々、鍋で沸かします。
2.アッサムティは、予め少量の熱湯で蒸らしておくと、良く抽出されます。
3. 1.がふきこぼれる手前で火を止め、
2.のティと濃く抽出された液を1.に入れて、3分~4分蒸らします。
煮込まないで蒸らすことがポイントです。
茶こしでティーカップに注いで飲みます。
名前がロイヤルですので、英国王室風と思われがちですが、あくまで日本でのメニュー(和製英語)です。
1.牛乳を鍋で沸かし始めます。
2.アッサムティは、予め少量の熱湯で蒸らしておくと良く抽出されます。
これは、ロイヤルミルクティと同じです。
3. 1.の鍋に、2.のティと濃く抽出された液を入れ、煮込みます。
沸騰直前に火を止め、茶こしでティーカップに注ぎます。
好みで、スパイスや砂糖を入れて良いでしょう。
火を止める前に入れて混ぜます。スパイスは、マサラやジンジャー、シナモン、クローブ、カルダモンなど。
インドで良く飲まれている紅茶メニューです。
インドでは、スパイスと砂糖もしっかり入れて、甘いチャイとなります。
ロイヤルミルクティと違い、煮込みます。
アッサムティのモルティな風味が良く合います。
サツマイモは、サツマイモケーキ、スイートポテト、大学いも、鬼まんじゅう(さつまいもを蒸した和菓子)、焼いも等、何でもOKです。
クリもサツマイモ同様、アッサムティの風合いと合います。
栗きんとん、マロングラッセ、栗おはぎ(餡の替わりに栗で)、栗ようかん等、やはり栗を使った菓子は何でもOKです。
コクがあって甘味のあるアッサムティには、アンを使った菓子にも合います。餡巻き、どら焼き、餡入りもち、餡ようかん、あんまん等々、範囲が広いですね。
アッサムティは、ロバート兄弟の故郷スコットランドの銘品に似ています。それは、スコッチウイスキー。
モルティな風味を、ウイスキーと共に味わうのも乙なもの。
勿論ミルクティにすれば、抜群の美味しさで、紅茶の醍醐味を味わえます。
朝の目覚めの時は、濃い目に入れミルクティに、そしてスコッチウイスキーを垂らせば、夜のお供にもなります。